父を食べる

projetdelundi2008-02-15

脳内メーカーという脳の中味を診断するサイトがあるそうだが、虎太郎(11ヶ月、体重11キロ)に関してはその必要はない。頭のなかの90%以上はまちがいなく食べることで占められている。
1日4回食事をする。おやつなどはなく、ちゃんとした食事をがっつり4回である。
いったん食べはじめると終わることができない。食器を片付けると不平を言う。仕方なくパンなどを与えるといつまでも食べつづける。無理矢理テーブルから引き離さなければ永遠に食事が終わらなそうだが、すぐに忘れて遊びに没頭しはじめる。
食費が家計を圧迫しはじめた。わたしと妻のと同量の野菜を虎太郎は食べる。
最初に覚えた言葉は「んまんま!」。
食べ過ぎるので食事のあいだを4時間以上は開けるようにしているが、3時間半ぐらい経つと「んま、んま」といいながら台所へ這っていく。つかまり立ちで背伸びしてキッチンの上に置いてあるものを手当り次第に取ろうとするので危なくてしかたない。
ひとが食べているのを見ると見境なく突進してくる。だからわたしと妻は座ってゆっくり食事を取ったことがない。虎太郎に食べ物をひっくり返されないように立って食べる。
絵本を読み聞かせすると頭がよくなると聞きやってみたら、2ページ目で絵本を奪い取り、かじろうとするので先に進めない。
置いてあるものはなんでもかじる。おもちゃを与えてもひと通り噛んで噛み飽きると見向きもしなくなる。常にフレッシュな口に入れるものがないと機嫌が悪くなるので、おたまやボウルやスプーンなど台所用品を次々と渡して食べさせている。
そして先日、それでも食欲がおさまらぬ虎太郎はついに父を食らいはじめた。
頭を丸かじりする。ふざけてではなくありったけの力で血が出そうなほど噛む。
「痛ーっ!」
と叫ぶと、遊んでもらっていると勘違いし、ますますニコニコになって噛みつくのをやめない。うっかり昼寝もできない。我が子の影に怯えながら過ごす毎日である。