2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

小石川植物園の入場券は門前のヤマザキパンの店で売っていた。のどかである。田舎の駅にいくと切符をそういうところで売っていることがある。 小石川植物園はなんてことのない住宅地のなかにあるなんてことのない雑木林のように外側からは見えた。なかに入っ…

ネーナ・ガーランド姫の夢物語4

おとといのつづき あまりにもネコが多くて、ネーナの知らないネコもときどきいます。ある日、ネーナはいつものようにベッドに寝っ転がって、モミモミに肩をモミモミしてもらいながら、ボリボリにかゆいところをポリポリ掻いてもらっていましたが、その日は、…

井泉本店

上野広小路裏にある昭和5年創業の老舗洋食店。「箸で切れるやわらかいとんかつ」は初代店主が作り上げたもの。肉はとてもやわらかいけれど噛みごたえがないというわけではない。微妙な塩梅にこだわりがある。完全にやわらかくしてしまわないで繊維を残して…

ネーナ・ガーランド姫の夢物語3

3週間前のつづき ネーナは999匹のネコと一緒に暮らしています。人間の大人が好きじゃないネーナは、ガーランド128世にわがままを言って、人間の家来をみんなクビにして、ネコを家来にしてもらったからです。一日中、寝てばっかりのネーナは、何か用事…

東京岡埜栄泉

ピクニッケのお店取材で聞いたことをまとめていく。ネット上にはグルメ情報があふれているが、食べた感想がほとんどで取材に基づいたものは少ない。誰か調べるひとがいたら役に立つと思い、聞いたことをアップしておく。 豆大福が有名な岡埜栄泉の本家は上野…

続龍

きのうのつづき。 問題の手洗い場である。(写真の中央にちいさく見える) 水が出ているのは龍の口ではなく、溶岩が冷え固まったような岩に穿たれた穴からである。この岩は見ようによっては龍に見えなくもない。 そのときやっと本で読んだことを思いだしたの…

どういうわけで龍が変転したものか自分でも理由がしれない。 2、3日前に自分の目でみたはずのことなのにありもしないことを原稿に書いていた。 不忍池の弁天島の手洗い場では龍が口から水を吐いている、とそのようなことを記したのであった。 3日ぐらいし…

続リサイクルセンター

本当にリサイクルセンターに行こうと思った方もいるかもしれないので続報。 渋谷にはじまり練馬、豊島、文京、北、新宿と渡り歩いたリサイクルセンター巡礼はついに高井戸の杉並区リサイクルひろばで終焉を遂げた。 ここは井の頭線高井戸駅と横断歩道橋で直…

間に合わせ

間に合わせの芸術という写真集がある。ドアを開け放しにするため隙き間にスリッパを挟んでおくようなことばかり写真に撮った本らしい。「らしい」というのは見たことがないからだが、アイデアを知っただけですでに見たような気になっている。 その本を作ると…

続パンダ焼

ふたたびパンダ焼へ行った。 前回に続いて特別キャンペーンということでカスタード入りが販売されていた。ひょっとして毎日が本日限りなのではないだろうか。 この日はパンダ焼製造マシーンが「ハウルの動く城」風の音を立てながら稼働していた。 数珠つなぎ…

不忍池

夏に不忍池に行った。蓮がピンク色の花を咲かせていて、たくさんのひとが見物に訪れていた。 冬にふたたび訪れたときわたしは目を奪われてしまった。ずっと遠くまで褐色の枯蓮が広がっているのだった。こころが真っ白になった。 あまりに荒涼とした景色を見…

かもめ

不忍池にて。 白鳥のボートに乗るかもめがいた。羽根が付いているのにどこへも飛ばずじっと白鳥の頭のうえにのっかって池のなかをまわっていた。あー楽ちん楽ちんとか思っているんだろうか。 道行く人みんなに「あのカモメよくね?」とか言われ不忍池の話題…

おみくじ

おとといのつづき。 おみくじのはずれがたくさん結んであった。 こんなに願い事が多いのなら神様は大変だと思った。 上野東照宮の神様は元人間の徳川家康である。人間は死んだら神様になる。神様になると人間の願いを実現できる超能力を持てるのである。 わ…

リサイクルセンター

渋谷と恵比寿のあいだにある猿楽橋の下を歩いていたら、渋谷区リサイクルセンターというのを発見した。 机もテーブルもタンスも三千円や四千円だった。 いま求めている家具とは別のものだったが、かなり惜しいのがあった。 これならいろんな区を行脚すればい…

上野東照宮

上野公園のなかにある神社。徳川家康が祀られていて、日光東照宮の親戚である。 たしかに日光に似て、左甚五郎の彫り物があり、本殿は中国風に赤と金をたくさん浸かった豪奢なものである。 観光地らしいにぎにぎしさと神社らしい静けさが独特に同居していて…

黄金バット

上野公園はレトロだと思っていたら紙芝居屋さんまでいた。 ヒロインのお嬢さんの台詞をいうときは 「キャー、助けて黄金バット!」 と急に裏声を出す。 そのほかいろんなギャグや解説も紙芝居の合間合間にはさんでくれるのだが、なにしろ観客が数人なので、…

パンダ焼

上野動物園の入口の横にこれぞ上野みやげというべきものを売っている。 パンダ焼というなかにあんこの入ったベビーカステラである。 パンダに見えるか見えないかのぎりぎりの線でまとめられているのがじつに滑稽かつコケティッシュ。赤と黄色の天津甘栗みた…

東照宮第一売店

上野公園はレトロである。 小さい頃親に連れられてパンダを見た頃とまるで風景が変わっていない。というより、上野の風景を見て、70年代とはこうだったんだと頭の隅っこの記憶を虫干しした感じである。 小春日和に誘われて上野公園のだだっ広い風景のなかを…

聖橋

地上と地上が交差する場所がある。地上が地上をまたぎ、地上から見下ろすと地上が見える。 散歩していると突然頭上に橋がかかり、橋は両岸の地面と地面をつないでいる。いま自分の踏みしめているのが地面のはずなのに、頭の上にも地面がある。そこにも家や建…

カラス

おとといのつづき。 カラスの行水を見た。 翼を羽ばたかせて水を跳ね上げたと思ったらすぐ飛び去った。 本当に短い。 たらい桶から水をかぶって盛大に水をまき散らしたと思ったらすぐいってしまう。 というようなカラスの行水をするひとの光景が、それを見た…

ネーナ・ガーランド姫の夢物語2

1週間前のつづき 「ネーナ様、起きてください。お父様に叱られますよ」 「ふぁーい。むにゃむにゃむにゃ」 しかし、そうやって起こされる度にいちいち目を覚ますのが億劫になってきたネーナは、そのうち、眠ったまま返事をする術を身に付けました。 ネーナ…

パリ広場

(きのうのつづき)住吉神社の脇を通り抜けて坂を上がると隅田川の広々した川面が眼前に広がった。 雨は上がっていた。黒っぽい雲に青空の穴が空いて、そこから差し込んだ冬の光が、水面に、川沿いの散歩道にあふれていた。 あたりは下町らしい景色から高層…

佃島

12月30日のお昼ごろ、家を出ようとしたらちょうど雨が降ってきた。風邪を引きそうなほど寒いし風が強い。 古代ギリシア人は家を出るときに躓いたらその日はろくなことがない徴なので外出するのはやめたそうである。 というサボりのエピソードが頭に浮かんで…

御苑

明治神宮には御苑がある。 ただの庭ではなく、御をつけなくてはならない。これは天皇のために作られた庭園である。 おとといの庭付き一戸建て木造物件から眺められるのはこの写真の池だ。 東京でこれほど深く神秘的な水の色を見られるとは思わなかった。その…

ネーナ・ガーランド姫の夢物語1

フランスの横のアルプス山脈を越えた、イタリアの上、ドイツの下の、その横の、そのまた横のちょっと上ぐらいに、ガーランド王国という小さな国があります。 どれぐらい小さいかというと、地球儀や世界地図に載っているちゃんとした国なのに、針の先ぐらいに…