2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

前回のつづき。 森のなかを通り抜けると視界が開けた。十字架の道行を終えたわたしたちはイエスと同じように丘の上にいるのだった。 十字架につけられ高く掲げられたイエスの像や、骸を抱きかかえるマリア様の像など、ゴルゴダの丘で展開された最期の数シー…

祈るひと

前回のつづき。教会の道行きの道すがら、木陰で祈りを捧げる聖者の像が見えた。 近づくとそれは錯覚で、木の瘤がそう見えているだけだった。

十字架の道行

教会巡りの楽しさに目覚めた。ちょっとどこかに出かけると近くに教会がないかと気になる。 群馬県の桐生に行く機会があった。パソコンで検索してみると、聖フランシスコ修道院というものものしくもおごそかな名前の施設がひっかかってきた。 桐生は小高い山…

坂本屋

その店は四谷の鯛焼き若葉に行くときの目印だった。 四谷の駅から新宿通りを四谷三丁目方面にいってレトロな和菓子屋の角を左、と。 ところがそのうちこの和菓子屋のほうが気になってきた。 ビルばかりならんだ大通りに一見だけ木造の瓦屋根。カステラの並べ…

浜離宮のつづきのつづき

入口から菜の花の匂いとともにボーという音が幾度か聞こえていた。汽笛の音にはちがいなかったが、こんなビルの谷間でどこから聞こえてくるのか知れない。 進むにつれ菜の花の匂いにかわったのは磯の香りである。たんぽぽの辺りを抜けていくと波止場が見えた…

浜離宮のつづき

菜の花畑を抜けても黄という色がついてまわった。 黄色い水仙があった。芝生のなかの黄色はたんぽぽだった。 綿毛が風で飛び散らかって着地した種がそのまま芽吹いたというように、緑のなかにぽつぽつと散りばめられていた。けれどもそれは空想で、ひとつの…

浜離宮

入口あたりから青臭い匂いがしていた。それがなんだかわからないまま歩いていくと香りがだんだん強くなってきて、木の間にまばゆいような黄色が見えてきた。 このあいだの日曜日、浜離宮では菜の花が満開だった。菜の花は河原とか田園地帯とかだだっぴろいの…

続サクラの旅

先週はサクラの週だった。 いまサクラが咲いてもうすぐ散ろうとしているのに自分はこんなことをしていていいのかとなんだかソワソワしてマジメに仕事ができない。ドライヤーが壊れたことにかこつけ、電器屋へいくのにサクラの咲いている川沿いの道を通った。…