2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

秋の標識

『沖縄のおさんぽ』を作るために那覇へ行ったのは確か11月の後半からだったと思う。 東京ではとっくに秋だが、沖縄では晩夏の気色から本格的な秋へと移ろっていく頃である。 1週間前に通った空地の前を再び通りすぎると、以前にはなかったすすきが茂ってい…

きのうのつづき。 後楽園の入り口に蓮池があった。 入ってきたときには季節外れに感じられて気にも留めなかったのだが、帰りには太陽の光を正面から受ける形になり、趣を一変していた。 池の水面に反射した光によって黄色く輝く蓮の葉。 自然はうつくしい。 …

台風一過

十一月のピクニッケは紅葉がテーマ。 紅葉のきれいな場所を探してきょうは小石川後楽園に行った。 台風が大気中の塵をいっそうしてくれたおかげでとてもきれいな光が降り注いでいた。 どこに目をやってもあらゆるものがうつくしい。 池に反射した光が水辺の…

出窓からの風景

また旧古河庭園の話。 写真では左側が切れてしまっているが、右の棟と左の棟をアーチとその上のバルコンが連結している、この屋敷の南側の姿がわたしは好きだ。 設計者のジョサイア・コンドルはもっともよく薔薇の見える2つの部屋を応接室と夫妻の寝室にあ…

木々の向こう側

また旧古河庭園の話。 丘を降りると日本庭園がある。 林のなかに渓流が流れている。 川を越え、木々のあいだを抜けると、視界が開ける。 池があって、松やもみじが水面に枝を差し出している。 中之島へと石橋を渡る。 池をめぐる沿路に置かれた飛び石がリズ…

居着き猫

きのうにつづいて旧古河庭園の話。 日本庭園の奥、木々に隠れた広場に猫がいる。 二度行って二度ともここにいたから居着き猫なのだろう。 もう老人なのか、草むらに半分身を潜めるようにしながら地面に座り込み、目を瞑っている。 「おいで、おいで」と手を…

カトリーヌ・ドヌーブ

きのう、11月中旬発売の『パニック7ゴールド』に掲載される『東京ピクニッケ』の撮影で、駒込の旧古河庭園へ行った。 どの薔薇も、2週間前訪れたときはつぼみに近かった花びらが、いまは散り落ちそうなほど広く開いて大輪になっている。 写真のなかの薔薇…

言問団子

在原業平が隅田川に着いたときに詠んだ有名な歌(「名にしおはばいざ言問はむ都鳥我がおもふ人はありやなしやと)に出てくる都鳥の正体は、川伝いに海から浅草までやってきたかもめである。 いまでも言問橋を渡ると街灯の上で悠然と川の流れを見つめていて、…

茶店

「さはら」は向島百花園のなかの茶店である。 おもしろいおみやげを売っている。 梅干しは向島百花園の名物、梅にちなんでいる。 都鳥の箸置きは、いまは瀬戸物だが、かっては隅田川の川底の土をすくって庭内で焼いた「隅田川焼き」であったそうな。(都鳥は…

萩のトンネル

向島百花園の萩のトンネル。 9月20日に撮影と日取りだけ決めてどうなることかと思っていたら、その日がたまたま今年いちばんの見頃だった。 『パニック7』のサイトで『東京ピクニッケ』連載の10月分写真見られます。 http://www.pachi7.jp/ 中央のWhat…

百花園のケヤキ

一本の樹の前で足を止めた。 ケヤキと書かれた札がかかっている。 重厚な幹が目の前にある。 ちょっとやそっとのちからではそよとも動きそうにない。 幹を見上げていく。 高く高く幹はビルのようにそびえ、放射状に枝分かれし、大きな空をさえぎって、青空は…

空き地

青山通りを表参道から少し西のほうへいったところから北へ曲がった細い路地に空き地があった。 道の両側のマンション3軒分ぐらいのスペースに、ねこじゃらしや酔芙蓉の白い花が咲き、それに包囲されるようにコンクリートの基礎が白い残骸をさらしている。 …

プチニッケ

プチニッケをはじめる。 『パニック7』で連載しているピクニッケのように準備万端してみんなで行くのではなく、気分のおもむくまま、空き時間にちょこっとピクニッケすることを思いついた第1回目。 恵比寿にある『ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション…

旧古河庭園

来月発売号のピクニッケは駒込の旧古河庭園を取り上げる。 薔薇と洋館の組み合わせがなんとも乙女的。 下見のため十月十日に訪問したところまだ三分咲きだった。 でもいろんな色の薔薇があった。 こっちが照れてしまうほど情熱的な赤。 清楚な白。 野薔薇の…

名主の滝

第1回目の連載「東京ピクニッケ」は王子の名主の滝へ行った。 猛暑の記録が出た日で行ってみると渇水のために滝は止まっていた。 開園以来150年の月日が流れているので、人口の滝といえども樹が茂り苔むして、深山幽谷そのままではあるが、地下水をくみ上げ…