とはなにか?

projetdelundi2007-08-28

パリの街を歩いているとよくおいしそうなパン屋に出会う。
そうなるとどうしてもクロワッサンかパンオショコラを食べておいしいかどうかチェックしたくなる。
家まではとうてい我慢できないので、買ったパンは歩きながら食べるか、そのあと行った映画館や美術館で食べる。
すると係の人に怖い顔で「○×☆□★◎パ・ピクニッケ!」と言われる。
「ここで食べちゃダメ」ということなのだが、否定形の「パ」の音と「ピクニッケ」という単語が深く心に刻まれた。
ピクニックというのはお弁当を持って野山に行くことだと思っていたのだが、フランスでは買い食いすることも「ピクニッケ」と呼ばれるのだ。
ピクニッケしたものはなんでもおいしかった。
おなかが減っていたし、フランスの食べ物はなんでもおいしいということもあるけれど、ちょっとイリーガルな感じ、日常の外にはみだした感じがスパイスになっていたのだろうと思う。
ピクニッケしたときに食べたものもそうだし、そのときのシチュエーションや風景もあとあとまで記憶に残る。
雨宿りしながら食べた裏通りのホテルの入り口の庇の下で石畳を叩いていた雨粒のことや、サンルイ島のアイスクリームをすぐにぽたぽた溶かした夏の陽射しのことなど。
食べ物と風景はそんなふうにセットで記憶され、おいしい思い出になる。
最高の食べ物と最高の風景を探し求める旅が『東京ピクニッケ』という連載である。
(いまでている『パニック7ゴールド』という雑誌ではじまりました。)
http://www.amazon.co.jp/パニック7-セブン-ゴールド-2007年-11月号/dp/B000VJE9CU/ref=sr_1_7/250-7807973-6222601?ie=UTF8&s=books&qid=1190630903&sr=8-7


写真はボンマルシェというデパートで買ったパンを前の公園でピクニッケしたときのもの。