鳩の街商店街

projetdelundi2007-09-28

木造の古い家屋のうちつづく通りに紅白のちょうちんだけぶら下げて商店街の体をかろうじて繕った趣き。
都内でも屈指の天然商店街http://d.hatena.ne.jp/projetdelundi/20060822/p1である。
金物屋の店先のいちばん目立つところにラッキー池田が頭に付けていた象さんのじょうろが吊り下げられている、といった調子。
高齢化を余儀なくされ、どの店もおしなべて投げやりである。
向かい合って縁台を出した古い商店の店先、どちらにも店主とおぼしきおばあさんが腰掛け道を隔てて雑談している。
客がきて中断される様子はなく、スローテンポの会話はどこまでもつづく。
同じ話題が壊れたレコードプレーヤーのように繰り返され、日がな一日はあっというまに十年一日となり、永遠となるだろう。
『墨東綺譚』のなかで永井荷風本人とおぼしき語り手は向島で失踪を試みる。
知り合いになどよもや遇いそうにない、打ち捨てられた裏町の陰へ紛れ込む。
鳩の街商店街は小説で描かれる風景と重なるところがある。