百花園のケヤキ

projetdelundi2007-10-19

一本の樹の前で足を止めた。
ケヤキと書かれた札がかかっている。
重厚な幹が目の前にある。
ちょっとやそっとのちからではそよとも動きそうにない。
幹を見上げていく。
高く高く幹はビルのようにそびえ、放射状に枝分かれし、大きな空をさえぎって、青空は枝の隙間から少しこぼれているだけだった。
こんなふうに一本の樹に心をひかれてずっと眺めることなどいつ以来だろうか。
我に返って横を見ると、妻もそばにきて同じように樹を見上げていた。
思わず樹を見上げたのは、わたしのこのときの気持ちの向きかたのせいだけではなく、この樹の持つ見えない力のせいなのだと思った。