間に合わせ

projetdelundi2008-01-23

間に合わせの芸術という写真集がある。ドアを開け放しにするため隙き間にスリッパを挟んでおくようなことばかり写真に撮った本らしい。「らしい」というのは見たことがないからだが、アイデアを知っただけですでに見たような気になっている。
その本を作るとしても、間に合わせの芸術がこの地球上のどこに潜んでいるか知る術はない。そんなものを探して彷徨ったって途方もないことだから日常たまたま出会ったときに撮り溜めておくということしかできないだろう。
写真集のことを知ったのは約2週間前である。なのに、きょう突然みっつも間に合わせの芸術を見た。しかも、すべて家のなかで。
ひとつめは「棒リモコン」である。
虎太郎(10ヶ月)の子守唄がわりにかけるオルゴールのスイッチを寝ながら切るために、朝顔の蔓をからませるプラスティックの支え棒(略称・蔓棒)を妻が枕元に置いて寝ているのである。
ふたつめは「棒キー」。
虎太郎がつかまりだちできるようになり、タンスの引き出しを開けて困る。それを阻止するために4段ある引き出しの取っ手のうえからしたまで蔓棒を差し込んでおくのである。蔓棒はさっきまで「棒リモコン」だったけれども、実際やってみたら暗くてどこにスイッチがあるかわからず使えなかった。昼間なら役立つだろうけど、あいにく明るいとき使う必要はどこにもない。そういうわけで「棒リモコン」は廃止され、「棒キー」となった。
みっつめは「まっすぐバサミ」。
シャワーを浴びるときにシャワーヘッドを持つとホースの根元がくねっと折れて水の出が悪い。従来はシャワーヘッドを差す穴(略称・シャワ穴)にホースを通しておくことで間に合わせていたのが、ホースに折れ目がついてその手が通用しなくなった。30秒ぐらいシャワーにかかるとすぐくねっとなるので困ったなと内心思っていたら、きょう風呂に入ると折れ目のところをつまむような感じに洗濯バサミを挟んでまっすぐになるよう間に合わせてあった。
よく考えたらみっつとも妻の仕業である。間に合わせ女の称号を授与する。
それにしても、家のなかのものって意外と名称が決まってなくて説明がたいへんだ。
最近寒くて散歩してないので間に合わせを書いた。