ネーナ・ガーランド姫の夢物語3

projetdelundi2008-01-28

3週間前のつづき
 ネーナは999匹のネコと一緒に暮らしています。人間の大人が好きじゃないネーナは、ガーランド128世にわがままを言って、人間の家来をみんなクビにして、ネコを家来にしてもらったからです。一日中、寝てばっかりのネーナは、何か用事があるときはぜんぶネコにやってもらいます。
「あー、チョコレートが食べたいなー、ムニャムニャ」と寝ながら寝言を言うだけで、ネコの家来が冷蔵庫からチョコレートを持ってきて、口の中に入れてくれます。
「ムシャムシャが食べさせてくれるチョコレートはおいしいなー、ムニャムニャ」
 寝たままのネーナにチョコレートを食べさせているネコはムシャムシャという名前で呼ばれています。ネコは人間のようにいろんなことはできませんが、ひとつのことだけなら、きちんと教えればそれなりに上手に、しかも人間より一生懸命やってくれます。ムシャムシャがネーナの口の中に食べ物を入れてあげることだけを専門にやっているように、ゴシゴシは歯を磨いてくれるし、ジャブジャブはシーツを洗ってくれるし、カチャカチャはテレビのチャンネルを変えてくれます。そういういろんな係のネコがネーナには999匹も必要なのです。たとえば、ネーナの大好物の「ガーランド風森のキノコのシチュー」は33匹のネコによって作られます。森に出て行ってバツグンの鼻を利かせておいしいキノコを探すのはクンクンというネコ、その後ろからポイポイというネコがついてまわってバスケットの中に見つけたキノコをポイポイッと入れます。持って帰ったキノコをまな板の上で切るのはトントンというネコで、切り終わるとまたポイポイが出てきてポイポイッと鍋の中に入れます。その他、鍋をかき回すクルクルや、薪をくべて火を起こすボーボー、いつも鍋の中身を舐めて味見ばっかりするペロペロ、トントンがタマネギを切っているときに代わりに泣いてあげるシクシク、胡椒引きを回して胡椒をふりかけるガリガリ、お皿を洗うゴシゴシ、お皿を拭くフキフキ……とにかくぜんぶ数えると33匹です。