東京岡埜栄泉

projetdelundi2008-01-27

ピクニッケのお店取材で聞いたことをまとめていく。ネット上にはグルメ情報があふれているが、食べた感想がほとんどで取材に基づいたものは少ない。誰か調べるひとがいたら役に立つと思い、聞いたことをアップしておく。
豆大福が有名な岡埜栄泉の本家は上野広小路にある。岡埜栄泉を名乗るお菓子屋はいろいろあってまぎらわしいけれど、「初祖」と屋号の前につけられているのが本家。
そもそも豆大福の岡埜というイメージが定着したのは、暖簾分けした虎ノ門の店から。官公庁が多い虎ノ門の土地柄VIPが好んで食べたことで火がついた。
幕末の安政年間以来155年の歴史がある。江戸時代は最中が中心だった。明治時代には池之端の岩崎家(いまも公園として残る)に納め、森鴎外夏目漱石も好んで買い求めていた。
江戸時代から味を変えないこだわりがあり、時代にあわせて甘さを控えるということはまったくない。餅粉を焼いた皮に「岡埜」という印がかっこいい。大納言を使用したあんこは水飴・寒天などが加えられて光沢がある。
豆大福をはじめたのは戦後のこと。戦前は串に刺した団子のようなあんこが表面についたものが主流で、餅のなかにあんこが入っているものは奇をてらった「駄菓子」だと思われていた。いまはそんなことは忘れられ立派なお菓子になっている。
表面に片栗粉がついていてつまむと手が汚れるのに風情がある。むかしは経木に豆大福を並べて売っていたので餅と餅がくっつくのを防ぐためだった。いまはひとつひとつビニール袋のなかに入っていて実際上の意味は少なくなっているが伝統を踏襲している。
ビニール袋に金色のロゴが書かれているのがこしあん、銀が潰しあん。個人的には潰しあんのほうが好きである。餅がしっかりしているので味のある潰しあんのほうが合っている気がする。これは好みだが。
あんこは北海道産、餅はこしひかりにこだわっている。毎朝、店舗裏の工場で手作り。その日作った分しか売らない(売切れ注意)。他の商品は賞味期限が3日あるが、豆大福は餅が硬くなるので当日としている。跳ね返ってくるようなもちもち感は希有である。なかに入れられた赤えんどうのこりこりとした食感、塩味があとからじんわりと甘みを引き立てていく。