projetdelundi2008-02-01

東京は坂の多い町だが上がったからといって上からの眺望が保証されているわけではない。
多くは背の高いマンションによって遮られている。たとえば富士見坂という坂は多いがその場所から遠くの景色が見えていたということ自体もはや信じられないほどほとんどはビルの谷間と化している。
でもわざわざ坂を上るかぎりは無意識のうちに少しでも眼下にパノラマが広がることを期待する気持ちはないか。坂を上がるとき胸騒ぎがするのはそのためでもあるように思われる。
小石川植物園の丘を上がると木々の隙き間から梅園が見下ろせた。近くで梅を見ることと別様の目のよろこびがそこにあった。傾斜地にそれぞれの木がそれぞれの赤いドットを散らして。
柵の向こうには古い住宅が見え、その向こうで印刷工場の煙突が白い煙を吐き出していて、その向こうはマンションがあって眺めはそこで終わっていた。それでもパノラマが少しだけ広がっていたのは満足だった。