projetdelundi2008-01-31

小石川植物園の入場券は門前のヤマザキパンの店で売っていた。のどかである。田舎の駅にいくと切符をそういうところで売っていることがある。
小石川植物園はなんてことのない住宅地のなかにあるなんてことのない雑木林のように外側からは見えた。なかに入ってもただの雑木林だと困るなと思っていたらやっぱり見かけ通りで困った。
雑木林をしばらく歩くと小学校の裏庭の池みたいなのが見え、そのうち梅が見えた。赤いつぼみを枝に散らした木があっちにもこっちにもそこらじゅうに立っていたのでもうこれは雑木林ではないということで安心した。
梅というのは桜みたいに一斉には咲かないものなのか。他の木はつぼみのなかにすこし赤い色が垣間見えているだけだというのに、一本だけフライングして満開の木があった。皇居東御苑の梅林坂に行ったときも、そういうせっかちな梅がいた。
つぼみのなかにもよく見ていくといまにも咲きそうなのとまだ硬く木の皮に覆われているのがある。梅の木は一応2月頃咲くと大雑把に決まっているだけで集団行動は苦手なのだろうと思った。わたしもその口なのでそういう緩みは嫌いではない。
薔薇に似た香りがあたりに立ちこめている。江戸の風流なひとたちのあいだで梅は見るものではなく嗅ぐものだとされていた。
梅の向こうに洋館が見える。旧東京医学校とかいうものである。工事中みたいで、中央の時計台だけが飛び出してあとは白いカバーに覆われている。床屋の客みたいだ。