蔵前

projetdelundi2008-03-31

蔵前は古くさい街だった。
in-kyoという雑貨店に行った。履物の工場だったところを改装したのだという。コンクリートの三和土や壁はきれいに磨いただけで、なにもつけくわえずかつてあったままにしてある。時間を積み重ねたことによる質感と暗さがひんやりした落ち着きを醸し出していた。
蔵前はまたおもちゃの街でもあって、ほとんど天然商店と化したたくさんのおもちゃ屋があった。
駄菓子屋やテキ屋のための問屋もあって、サングラスや、お面やスーパーボールや、イミテーションの携帯電話などチープなおもちゃを所狭しと置いて、ちかちかとカラフルである。
一件の店でちいさな鯉のぼりを買ってベビーカーに取り付けた。125円。おじさんがひとりで鯉のぼりを作り、凧を作っている。小学校でむかしの遊びを教えてもいるよう。モルタルの古い家だった。
裏道に見つけたのは、すっきりした白壁がきれいな写真の建物である。石積みのようにコンクリートブロックを積み重ねて洋館みたいにしてあるが、屋根は瓦葺き。鉄の窓柵はアールデコのような素敵な模様だった。
表通りにまわってみると古い文房具店である。木戸のガラス越しになかを覗く。薄暗くて目が慣れてくるまでひとつひとつの商品が識別できない。品数は少なくて開店しているのか閉店しているのかよくわからない。黴臭い感じの暗い店先に親密さとなつかしさがあった。