十字架の道行

projetdelundi2008-04-25

教会巡りの楽しさに目覚めた。ちょっとどこかに出かけると近くに教会がないかと気になる。
群馬県の桐生に行く機会があった。パソコンで検索してみると、聖フランシスコ修道院というものものしくもおごそかな名前の施設がひっかかってきた。
桐生は小高い山に囲まれたちいさな町で、どこからでも山を見ることができる。聖フランシスコ修道院は町外れの山麓にある。
森のなかを通り抜ける道にそって十数カ所の彫刻が置かれている。「十字架の道行」と呼ばれるもので、キリストが十字架にはりつけにされ、エルサレムの町を十字架を背負って歩んでゴルゴダの丘へ登り、命が尽きるまでの各シーンを彫刻によって表したものだ。
わたしが写真で見たエルサレムの町は、日本人の自然観が決して届かないような岩だらけの色彩のない埃っぽい斜面に、石を積み上げた建物がぶっきらぼうに並んで、いまでも聖書時代のようなたたずまいを見せていた。
ところが、この十字架の道行は緑ゆたかな林のなかの道を上り下りしてたどっていく。鶯や小鳥たちのさえずりと、敷地のなかを流れる川のせせらぎがみごとなBGMである。
ちょうど紅色のつつじが満開だった。わたしの目には岩だらけのエルサレムと、沿道を染めるつつじが二重写しになって、苛酷なキリストの死への道行がまるで神の恩寵によってうつくしい花々で飾られたかのように見えた。