京都上リ下リ2

projetdelundi2008-08-27

わたしはやたらに自転車を漕いでいた。必死になってどこかへたどりつこうとしていたがどこにもたどりつけなかった。久しぶりの旅行ですっかり舞い上がっていて、限られた時間のうちにいろんなところをまわろうと思いすぎていたせいか、せっかく京都まできたのにあまり愉快ではなかった。
ところが2日目か3日目になってくるとだんだん面白くなってきた。特別なことをしようと思うより、家の近所を散歩しているような感じで風景を見られるようになってきたのである。するといかにも京都ならではのものではなく、ちょっとだけ変わったもののほうにこころが動くようになってくる。そういうもののほうがわたしには興味深いのである。
寺町は骨董屋が多く建ち並ぶ通りである。一軒のガラクタ屋のようなところを通り過ぎようとしたらフランス語が聞こえてきた。外人の母と小学生ぐらいの娘が店先に立っている。女の子のほうは「ママン、ママン」と一生懸命なにかをお母さんに話かけているのだけど、それはいつものことのようで母は少しも耳を傾けず骨董品の物色に熱中している。
翌日寺町を走っているとまた同じフランス人の親子に遭遇した。今度はふたりは自転車に乗っていて母が前を走っている。母がマイペースに自転車を走らせているのに比べ、ちいさな自転車に乗る女の子は急いでペダルをこいで必死に後をついている。女の子は前を走るお母さんに向かって「ママン、ママン」と一生懸命なにか叫ぶのだったが、母は聞いているのかいないのか後ろも振り向かず淡々と走っていく。

東京ピクニッケ

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