京都上リ下リ5

projetdelundi2008-08-30

「どんな音楽が好きですか?」と質問されたとき、
「現代音楽」と答えるとぎょっとされる。
現代音楽のことを知っているひとには、あんなピーピーとかガシャーンとかずっといっているだけのものをじっと聴いている物好きがいたのかと驚かれるのであり、現代音楽のことを知らないひとには、現代の音楽を聴くのなんて当たり前じゃないかと当惑されるのである。
京都にはなんと現代音楽とその周辺のジャンルしかおいてないCD屋があった。
京都ではワンテーマで店が成立するようである。そのへんはパリと似ている。パリにはすごく変な店があった。国旗だけ売っている店とか。間口の極端に狭い店が成立するというのは、その町の文化的な奥行きを示していないだろうか。東京にもあるにはあるけれど堂々とはしていない。特殊な古本屋があっても神保町に固まって集団になることによってデパートの役目を果たしている。秋葉原しかり。
三条のイノダコーヒーの隣(かその隣ぐらい)に國島機械株式會社という店があった。ハカリの専門店だそうで、ビーカーとかフラスコとか試験管とかプレパラートだとかそんなものが並んでいる。子供のころ理科室で薬品のつんとする匂いのなかで怪しいあこがれを放っていた品々に久しぶりに再会したのだった。
使い道もわからないのにほしくなるのはどういうわけだろうか。ガラスの冷たい感触や、業務的な淡々とした形に惹かれるのかもしれない。あるいは煙がもくもく湧いて怪物がでてきそうな、なにが起こるかわからない危険な感じが魅力なのかも。
いちばん欲しかったのは、種を入れておくためのイチジク型のガラス瓶である(名称不明)。これは蓋が底についていて、開けるときはひっくり返して底から開ける。ドイツ製とのこと。わたしは金平糖を入れたくなった。