オーボンヴュータン

projetdelundi2008-09-19

東急大井町線尾山台。よほどのことがない限りほとんど降りる可能性のない駅にオーボンビュータンはある。
ずっと行ってみたくてやっとたどりつけた。
駅前からいい感じの商店街をずっと歩いて終わりかけたところ。東京の中心からこんなに離れていて名店の名をほしいままにする吸引力はすごいものだ。
店はパリのようであった。この安易な形容詞をわたしはこのブログで何度ももちいたが、それらの店とはあまり似ていない。また別アングルのパリだ。子供の好みそうな砂糖菓子(フルーツの砂糖漬け)まで置いて、でもうつくしさや格式に妥協していないところはパリの下町の老舗という感じである。直訳すれば「古き良き時代」となる店名の意味をようやく理解した。
ひどく暑い日で、エピス(香辛料入り)というクレーム・グラッセ(アイスクリーム)を食べた。溶けてはいけないので店を出るなりいきなり食べた。とてつもなく濃厚でそこへアニスかなにか香辛料も強烈に香る。発想において日本人の考えるレシピではなくてショッキングだった。
上の写真の奥はブリオッシュ・ロックフォール。青カビのチーズをベシャメルソースで割ったものをブリオッシュで豪快にサンドしている。チーズの塩味とブリオッシュのほんのりした甘みの取り合わせには「合っている」という言葉では言い足りないような激しさ、パニック感覚があった。
手前のケーキのことはブリオッシュ・ロックフォールの衝撃で頭が吹っ飛んでよく覚えていない。ホワイトチョコのコーティングのなかには同じくホワイトチョコのムースとピスタチオのクリーム、フランボワーズがなかに入っていたそうである。わたしが記憶しているのはチョコがすばらしくなめらかに溶けていったことだけだ。
尾山台には等々力渓谷というかっこうのピクニッケスポットが存在しているが、オーボンヴュータンにたどりつくのに精力を使い果たして行くことができず、写真は家でピクニッケっぽく擬装して撮った。