半蔵門

projetdelundi2008-12-25

話は雑司ヶ谷から半蔵門へ移る。川喜多財団へ映画の写真を取りにいったのである。過去の名作の写真を焼き増しして貸しだしてくれる。それは教会の本のなかでキリスト教に関する映画を紹介するためのものである。ロッセリーニ『神の道化師フランチェスコ』とかドライヤー『裁かるるジャンヌ』とか『ゴダールのマリア』とか。
ティール写真で見る映画は実際に見る映画よりももっとおもしろいとさえ感じられる。どうして無造作に切り取られたワンシーンがこんなにも目をひきつけるのかわからない。現実がこの一点に集約されたような力を感じる。ちらと見ただけでも映画の感情が渦巻きのように頭のなかに流れ込んでくるようである。
帰りにBourangerie Aというパン屋に寄った。練乳クリームパンがことにうまい。白パンのなかに練乳クリームがはいっていて、パンとクリームのかすかな甘みが呼び合い、ぐにゅっとした食感とじんわり系の甘さも響き合う。2つのパンがひとつにくっついた形は、プロジェ・ド・ランディにふさわしい。ちゃんと夫婦で半分こできるのでけんかにならなくて済む。
けれども、もうそろそろ自分の周囲で行われることを虎太郎(1歳9ヶ月、12.6キロ)がかなり正確に理解しはじめている。あと半年もしたら2つのパンを3人で取り合う骨肉の争いが勃発するかもしれない。そうなるぐらいだったらもう1個買えばいいんだけど、今度は3プラス1個分になるので最後の1個をめぐってまたけんかになるだろう。家庭生活とはむずかしいものである。
写真のなかのビニールに入っているものが練乳クリーム。隣は白パンで、その上はたぶんバターの固まりが入ったパン。なぜあやふやかというと、そのときウイルス性の胃腸炎にかかっていて、消化のいい白パンしか食べられなかったから。