ベランダ農園

projetdelundi2009-04-27

突如農業に目覚めた。
私は植物なんか育てたことない。小学1年のときは学校で朝顔を作らされたが、私の植えたのだけが枯れ、仕方ないので観察日記は他人の朝顔を見て描いた。そのあと小学校何年だか忘れたがヘチマも枯れたし、ヒヤシンスも腐った。でもいい加減大人になったことだし、今度こそできるんじゃないか、と都合よく過去は忘れてそう思った。
本を買ってきてその通りにやればいいのである。ぱらぱら見ていると誰でもできそうなほど簡単に書いてある。
永田農法という、『美味しんぼ』にも出てくる肥料も水も与えない方法でやることにした。とんでもなく甘いトマトや、生でまるかじりできるナスが作れるそうだ。植物への愛とかそういうのじゃなく、おいしいとわかると途端にやる気が出る。おまえは食い意地で動くロボットか、とときどき自分のことをそう思う。
ホームセンターに買いにいったら、トマトの苗1本が390円した。その金があれば八百屋でトマトが買える。農業をやれば得をするか、少なくとも元は取れると思っていたが勘違いだった。労力がかかる上に金まで取られる。とんでもない道楽だ。プランター1杯分の土が1000円。土なんかそこらへんにいくらでもあるのに、なんで買わないといけないんだろう。
苗は妻に選んでもらった。私が八百屋で野菜を買うと萎れたのとか虫に食われたのばかり買うからである。どんなに慎重に選んでも、家に帰って妻に見せると古い野菜だといわれる。だからこのステップに私は関わらないようにする。苗選びが非常に大事だと本に書いてあったので、慎重を期したわけである。
ところがプランターに植え終わってからよく見てみると、妻が買った苗もやっぱり萎れているのである。2本のうち1本はまったく元気がなく、しおしおで、くたびれきっている。なんでこんな苗を買ったのだと腹が立って、妻に抗議しようと思っていたら、1本だけではなく、いつのまにかもう1本も萎れている。葉っぱなど立っている元気がなくなって地面にふにゃとへばりついて、ダリが描いた時計みたいになっている。
それで気づいたのだが、妻が萎れたのを買ったんじゃなくて、元気な苗でも私が植えると片っ端から萎れるのである。1日のうちにこんなに様子が変わるなんて知らなかった。植物も人間みたいだ。ちょっと働いただけですぐへたれこむ、まるでやる気のない人を彷彿させる。
これは本当に私のせいなんだろうか。はさみで根っこをちょんぎるべしと本に書いてあったのを実行した、あれがいけなかったんじゃないか。永田農法、大丈夫か? ナス、がんばれ。