西坂

projetdelundi2009-04-28

西坂という聖地がある。長崎駅前から5分ぐらい歩いた坂の上。ここで二十六聖人は豊臣秀吉の迫害によって殉教を遂げた。
二十六聖人が十字架につけられたのと同じ場所に、その模様を再現した彫刻が建てられている。
行ってみるまではそんなことになるなんて思いもしなかったのだが、その彫刻のひとりひとりの表情を見た途端に数百年前の出来事が胸を突き刺すように迫ってきたのだった(その理由は『修道女スタイル』に書いたのでここでは繰り返さない)。私はその瞬間に「巡礼」の意味を知ったのである。
冷たい雨の降る夕刻だった。寒さから逃れるように横にある聖フィリッポ・デ・ヘスス教会の中に入った。この教会の扉は巡礼者のためにいつでも開かれている。教会の底の心地よい暗闇と、見上げるステンドグラスは対照的に光り輝いていて、感銘を受けた。
外に出るともう夜になっていた。坂の上まで家がつづく長崎の町が珍しくしばらくまわりを彷徨った。