出津教会

projetdelundi2009-05-09

ド・ロ神父が建て、司式を行っていた教会。
母国フランスのゴシック教会が高く高く天を目指して空を突き刺すように尖塔を延ばしているのと対照的に、この教会は海の見える斜面に伏せるようにある。そして一目見て忘れられないほどの白さ。
それは漆喰の色であってところどころはげて地のグレーが見えてきていたりするにもかかわらず、新しいペンキの白よりもずっと目に沁みるようである。
白い教会は母国フランスにもきっとあるはずだ。では台風を避けて平屋にした教会は? 風土が変われば生活も信仰の様式も変わる。それでも過酷な自然の中で何を犠牲にしても守り抜くものがあったのだということを、この教会の形から考えてみる。
写真集などによく登場する教会の正面は後から建て増しされたものであって、私は祭壇の裏にあたる背後の部分のほうが落ち着きがあって好きである(その写真を『修道女スタイル』で使った)。飽きずにずっと教会のまわりをまわって見て歩いた。妻は鐘をかわいいといった。鐘塔の鐘は戦時中に供出したかなにかの都合でなくなり、昔はミサの時間は写真にある鐘を鳴らして知らせたそうである。音は聞いたことがないが、ガランガランというバケツを叩いたような音を想像した。
日曜のミサに行ったとき、神の島教会と同じように右側に女性、左側に男性と別れて座っていた。これは東京にはないことで、長崎ではじめて見た。男性の服装は作業着を着ている人などが多かった。ミサのあと仕事に出かけるのだろうか。その風景からも「生活の中に信仰がある土地」という、あの神父様の言葉を思った。
教会の脇の斜面に聖堂と同じ色、白い水仙の花が咲いていた。