根津メトロ文庫

projetdelundi2006-09-26

千代田線・根津駅の改札口。
本物の車両を改造したのらしい、アルミ製のちいさな部屋のなかに本が詰まっている。
職員や利用者の人が持ち寄った本を集めた、手作り図書館。
この駅を最寄りとしている人ならば、通勤や通学の途中に本を選び、電車のなかでそれを読んで、日々のささやかな楽しみとすることができる。
本を作る職業に就く以前、私は「ひとりメトロ文庫」を試みていたことがあった。
読み終わった本を網棚に置いて去り、見知らぬ誰かへのプレゼントにする。
それは私の思い込みに過ぎず、実際には忘れ物係りに直行しただけだったろう。
最近、『ウェブ進化論』という本を読んでいて、それと似た運動がアメリカ西海岸のどこかで試みられていることを知った。
つまり、その街では、多くの人たちが読み終わった本を、網棚やカフェにあえて置き忘れるので、たくさんの本がぐるぐると町中を回遊しているのだ。
実際、そうでなくても、言葉とは誰のものでもないのであって、もしある言葉に力があるなら、それが人の口から口へと膾炙され、世の中へ広まって、みんなのものになる。