居着き猫

projetdelundi2007-10-26

きのうにつづいて旧古河庭園の話。
日本庭園の奥、木々に隠れた広場に猫がいる。
二度行って二度ともここにいたから居着き猫なのだろう。
もう老人なのか、草むらに半分身を潜めるようにしながら地面に座り込み、目を瞑っている。
「おいで、おいで」と手を差し出した。
しばらく様子をうかがっていたがやがて寄ってきて、ぐるぐるぐるぐると足許をまわりはじめた。
この老猫はひと目を忍ぶようにしながらも、実はさびしがりやで、他の動物の体温を欲しているのだ。
そのことは、くるぶしあたりにからだをこすりつけるようなその動きからも感じられた。
わたしは動物好きでもなんでもなく、野良猫においでおいでをしたことなんてほとんどない。
にもかかわらず、なぜかこの猫を呼び、猫のほうでも警戒心を起こさずわたしにすり寄ってきたのは、最近こどもができたことと関係があるかもしれない。
実際、猫と戯れているときの感触は、我が子と遊んでいるときとよく似ていた。
猫の心の動きようと、8ヶ月の赤ん坊のそれがごく近しい感じがしたのだ。
広場を立ち去るとき、寂しさが去来した。
彼を裏切っているような気持ちになったのである。