木々の向こう側

projetdelundi2007-10-27

また旧古河庭園の話。
丘を降りると日本庭園がある。
林のなかに渓流が流れている。
川を越え、木々のあいだを抜けると、視界が開ける。
池があって、松やもみじが水面に枝を差し出している。
中之島へと石橋を渡る。
池をめぐる沿路に置かれた飛び石がリズムを奏でる。
枯山水の滝。敷き詰められた丸石が川の流れを表し、屹立する巨石が滝を表す。
池をまわりこむと林。鬱蒼とした雑木林に視界を塞がれ、迷子になったような軽い眩惑を覚える。
山道をずっと行ったところに石造りの倉庫。それから、枯淡な茶室が姿を現す。
この庭園では、ほんの数メートル前までは決して気づかなかった趣向が木々の向こう側に蔵されているのだ。
やっと池に戻ると、丘の上から滝が落ちている。
水音が静寂を醸す。
水の流れを見ていると放心してしまうのはなぜだろう。
風景を眺めているというより、自分の心の水面を見つめているような気分になってくる。
実は、この丘は八月のピクニッケで紹介した王子と尾根続きである。
王子で滝が落ちていたのとちょうど裏側に向かって、この滝は落ちているのだ。
丘の上にそびえていた三階建ての洋館http://d.hatena.ne.jp/projetdelundi/20071012を、この日本庭園から見ることができない。
木々によって巧妙に隠されているからだ。