アルプス洋菓子店

projetdelundi2007-11-01

旧古河庭園でケーキを食べる話。
駒込のアルプス洋菓子店といえばシュークリームやロールケーキなど昔ながらのケーキが有名である。
けれど、フランス帰りの若社長が創意したモダン路線も秀逸だ。
ジャージー乳の生クリームを使ったムースオショコラがおすすめ。
最初にすーっと酸味がやってきて、そのあとに高貴でしっかりしたクリームの味わいが広がる。
しかし、あくまで軽い。だからチョコレート、柑橘系のリキュールの香り、スポンジ、ムースの食感がそれぞれに感じられてハーモニーを奏でる。
日本で生産されるホルスタイン種の牛乳は、ヨーロッパの主たる乳牛であるジャージー乳に比べ、カカオの香りを阻害する傾向にある。
これは製菓学校で教鞭を取り、食品会社の研究員も務める社長さんが発見した新事実である。
パリで食べるケーキと東京で食べるケーキはどこか味がちがうと感じていたのだが、原因はこれかもしれない。
なにしろクリームは遠距離の輸送に適さない性質を持つ(揺れると泡だってしまう)ので、ジャージー乳を飼育する牧場が近辺にない東京で、使用を許される洋菓子店はそう多くないはずだからである。
チョコレートもヨーロッパの一級品を取り寄せているとのことで、確かにこのムースオショコラはパリを感じさせる。
写真の左奥がムースオショコラ。
右下のモカロールはバタークリームにはまった。
包装紙は東郷青児が描いたもの。