現実から遠く離れて

projetdelundi2007-11-04

人間の顔が落書きされたホワイトボードと壁の隙間に、子供が挟まっている。
どうしてそんなところにいるのか。
かくれんぼだったら足が見えるところには隠れない。
わたしも子供の頃はよく隙き間に入り込んでいた。
そのときの気分を思い出してみると、かれらはいま別の次元にいるのだと思う。
隙き間はこの世ではなく、現実から抜け落ちた場所、別の時間が流れる場所である。
暗くひんやりとしてなんだか落ち着く。
隙き間に入ると急にいろいろなざわめきが聞こえてくる。車の音とか人の話し声とか鳥の鳴き声とか。世界はたくさんの物音で満ちていることがわかる。
わたしは仕事をし、道を歩き、飯を食べ、息を吸ったり吐いたりし、よろこんだり、怒ったり、嘆いたり、いろんなことをする。
これらをいつも現実だと思ってやっている。その感じから離れられない。
本当はいまやっていることが非現実なんじゃないかなどとはぜんぜん疑ったりしない。
しかし、そういう現実感のほうがむしろ不思議になってくるような、隙き間に入り込んだような瞬間がときどき訪れる。
ピクニッケも現実から離れるためにはじめた企画である。東京という街を、東京の時間から抜け落ちた隙き間の場所から眺めてみたいと思ったのだ。
そういう試みのコレクションを「現実から遠く離れて」(略称・現実離れ)というカテゴリーで書き込んでいこうと思う。
白金台どんぐり児童遊園にて。