パリのおさんぽ?

projetdelundi2007-11-09

パリのおさんぽblogを名乗りながら東京23区から一歩も出ない話題ばかりで、忸怩たる思いを抱いてきた。しかし、きょうばかりはその名にふさわしい話題をお伝えできそうである。
といっても、ピクニッケした先はセーヌ河畔ではなく、神宮外苑イチョウ並木。まだ紅葉の時期には早かったけれど、それが残念と思えないほど風景に陶酔した。
パリという舞台装置の秘密がすべて実現されている。
長く長くつづく広幅の直線道路に等間隔でつづくイチョウの木にはギリシャ神殿の列柱を思わせるような遠近感のうつくしさがある。
どこまでも見通せるその先に凱旋門に代わって身を横たえているのは、神宮絵画館の古典主義的シンメトリーである。
東京とは思えないぐらい空が大きい。広い歩道の両側にイチョウの並木が並び、その外側には十メートル以上も幅を取って緑地帯が広がっている。せせこましさを持って尊しとなす島国日本人の空間感覚ではない。
緑地はわたしの念願通りただの空地である。まるで森の下生えのような無際限さで大きな葉っぱの雑草が焦げ茶色の地面を色どっている。並木の立派さばかりが強調されがちだが、この余白がなければ広々した気持ちのよさを感じることはできないだろう。
おまけにいい感じにペンキが剥げたベンチには蔦のモチーフの手すりがついている。色づかいといい、パリの街路に設置されたベンチそっくりのアールヌーヴォー。確信犯の仕業である。