宮下公園

projetdelundi2007-12-01

先日のつづきで、宮下公園。
都会の公園のベンチにはいろんな人がいるものだ。
よれよれのトレンチコートを着たサラリーマン風の中年男が仕事をさぼっている。
一切の希望を失ったような顔をしているので窓際族と推察される。
黒澤明の名作『生きる』に出てきたブランコの名シーンを思い起こさせる哀愁を漂わせ、おじさんのまわりだけ風景が白黒になっているのだった。
一心不乱にマンガを読みふけるメガネの学生。脇に置かれた紙袋を覗き込むと数十冊のマンガが入っている。
なんで野外のベンチなんかでマンガを読んでいるのか? たぶんマンガさえ読めればどこでもいいのである。メガネ学生の脳内ではいま猛烈な速度でマンガ台風が吹きすさんでいる。
まんだらけ(マンガ専門店)で読みたかったマンガを一気購入し、つづきがどうなるのか気になって気になって仕方なくなり、トイレへ急ぐひとのようなハイスピードで早歩きしてマンガを読む場所を探し求め、この宮下公園にぶち当たってとるものもとりあえずベンチに座ってマンガのページを夢中で繰っている。
すぐ横で枯れ葉が舞い散ろうが、哀愁の窓際族がいようが、子供ほったらかしで焼き鳥丼にむさぼりつく夫婦がいようが関係ない。マンガ命、マンガにくびったけ、急性マンガ中毒である。
つまり、かれはいま現実離れしている。