ジャコメッティの森

projetdelundi2007-12-23

新宿御苑の荒涼たるうつくしさについて。
枯葉の散り敷かれた広場に曲がりくねる枝を持つ樹々が連続して立ち並ぶさま、人気ないさびしさは現実離れ感覚にあふれていた。
なんという奇妙な木だろうと札を見ると単なるソメイヨシノだった。春にはあんなにおめでたいものが冬にこんなに冷涼としたものに変化する。
キリスト教において天国に入場できない自殺者が木に変身させられ永遠にとどめ置かれるという自殺者の森を連想した。
けれども心霊スポットとかそういうジメジメした霊気を感じたのではなく、脳天がヒヤヒヤするような、すがすがしい孤独を感じたのだった。
一本一本の木の、枝振りの不思議を彫刻のように見た。ジャコメッティの作る人物像に似ていなくもない。
無人の広場のベンチにたったひとり座って本を読んでいるひとがいた。自ら進んで現実離れのなかへ身を浸す気持ちはわからないでもないが、いくらなんでも寒いし、さびしすぎやしないか。