カラス

projetdelundi2008-01-09

おとといのつづき。
カラスの行水を見た。
翼を羽ばたかせて水を跳ね上げたと思ったらすぐ飛び去った。
本当に短い。
たらい桶から水をかぶって盛大に水をまき散らしたと思ったらすぐいってしまう。
というようなカラスの行水をするひとの光景が、それを見た記憶もないのに勝手に思い描かれた。
隅田川のほとりにある月島の小学校でのできごとだった。
昼ごろ降った雨が冬なのに夕立みたいにすぐあがってからりと晴れて空気のなかの埃だけ除去して雨雲が去っていった。
校庭の端っこのフェンス近くに青いビニールシートが敷かれていて、そこに溜まった雨水をカラスが浴びているのである。
にわか雨でさっき溜まったばかりの水を目ざとくみつけてやってくるのだから、よほどカラスは行水好きなのだろう。
雨上がりの透明な光のなかで跳ね上がる水滴も、ビニールシートの青も、水に濡れたカラスの羽根も光り輝いていた。
ことにカラスはいつもならば黒にしか見えない羽根が紫色にも緑色にも見えるようないわゆる玉虫色に光っていて、そのうつくしさのせいでいつもならばわたしがカラスに対して思う猛禽類の恐怖感が不思議と湧かず、行水の様子をまざまざと観察した。
先に行水を終えたあとなのか同じように翼を濡らしたもう1匹のカラスがフェンスに止まって仲間の行水を見ていた。
かれらがツガイならば、人間でいえば神田川みたいな「いつもわたしが待たされた」という世界かもしれないし、そうではないとしても銭湯好きの友だち同士でひとっ風呂浴びにきましたという感じに考えて問題ない。