近代建築

projetdelundi2008-02-06

きのうのつづき。
いってみるまで知らなかったのだが、小石川植物園にはたくさんの近代建築が散在していた。
古ぼけた建物が雑木林や並木の彼方から不意に視界へと登場し、風景の残骸感をいっそう高めるのだった。
先日触れた旧東京医学校がそうである。『三四郎』に登場するキャンパスの風景はあんな感じだったのだろうと漱石好きのわたしは思った。
ちょうど喉が渇いた頃奇跡のように現れたちいさな売店も近代建築だった。八角形を押し潰して屋根を斜めに乗せたようなちいさな建物は小人の家のようだ。自動販売機が並べ置かれファサードを覆い隠していたのはもったいない。
それからきのうの温室、そのあとイギリスから株分けされたというニュートンの林檎の木を過ぎると、蜜柑の木のかげから洋館風の住宅が見えてきた。煉瓦造りのちいさな煙突、上品な色で塗られたモルタルの壁、白い縦長の格子窓。骨董ごころをくすぐるしつらえであった。
それはなんとか教授記念館という名前で、日本植物学界に多大な貢献をしたなんとか教授の研究室だった建物であり、偉大な業績を記念した銅板レリーフに刻まれた、なんとか教授の顔は場ちがいにとぼけていた。