ドーム

projetdelundi2008-05-04

きのうの魚屋の写真を見ていて思いだしたのが、カフェ・ドームである。ドームはかつてピカソが画家仲間と毎日のように集ったモンマルトルの由緒ある文壇カフェの一軒だ。
入口のところに生ガキや魚介類が置かれ、氷が敷かれたケースがあって、その場ですぐ食べられるようになっている。
パリのカフェでこういう光景はいたるところに見られるのだが、いつの魚だかわからないような感じであまりおいしそうに見えないのでずっと敬遠していた。
ところがカフェ・ドームの裏にドームが経営する魚料理専門のビストロがあって、この店で食べたヒラメのムニエルが忘れられないほどおいしかった。こんな店まで出店してしまうほどだから、あのカフェの入口の氷上の魚たちもかなり本気で集められたイキのいいものにちがいない。
それからレンヌのBIOの市場の入口にある魚屋に並べられた魚がどれも新鮮新鮮そうだったこと。魚に関して素人のわたしが見てもイキのいいことがすぐわかるほどで、これほどうつくしい魚屋を日本でもめったに見ない。
海のそばで育ったわたしは、外国にいっても新鮮な魚なんて食べられはしないはずだという歪んだ大和魂をもってパリにでかけていったのが、この二軒の存在によってその思い込みをあっけなく打ち破られたのである。
[写真は築地のひとがみんな乗っている自転車。無骨でかっこいい。これだけではなく、魚屋さんが魚を入れてくれる茶色いオイルペーパーとか、竹の市場カゴとか、築地にはいろいろいいものがあった]