日比谷公園

projetdelundi2008-05-10

日比谷駅の出口の階段を昇っていると、かび臭さとモーターの熱が入り交じった地下鉄の空気に代わって、雨の前触れの湿った空気が地上から階段を滑り降りてくるのがわかった。
日比谷公園の木々も朝のうちの雨によって湿り気を帯び瑞々しい色をして、その色が湿度のヴェール(春霞?)によってまわりのビルやひとびとの行き交う風景とうつくしく調和して見えた。
昼休みどきで背広姿のひとたちがベンチに座ってぼーっと煙草を吸ったりしていた。そういう風景を見ていると公園というのは都会の忙しい時間をゆるめる装置なのだなと思ってわたしの気持も思わずゆるんでいく。
色とりどりの花が植えられた花壇の中央に芝生の広場があって真ん中にひょろひょろっとソテツかヤシのような南国の木が5、6本生えている。ベタといえばベタな「洋風庭園」だけれど、気を張って作られたものよりかえってなごむ。
ピクニッケ場所はいままで浜離宮小石川後楽園というような景勝地を選んできたが、一巡りするとこうした公園らしい公園も意外といいなと思うようになった。
白い花が目立った。白いツツジがあった。ハナミズキがあった。マーガレットもかわいい花を並べて風に揺れていた。自然には必ず色彩があって、この世界は色に満ちている。そのなかにあって色彩のない白い花は、潔さ、純粋さ、あるいは決意のようなものを感じさせる。