聖アンセルモ教会

projetdelundi2008-05-28

目黒の駅にほど近い、巨匠アントニン・レーモンド作の教会。
打ちっぱなしの分厚いコンクリートに遮られたこの空間はひんやりし洞窟のような印象を与える。
といっても表面はとても繊細に仕上げられていて、包まれ護られている感覚が同時に感じられる。
内部は薄暗く天井が高くて足音ひとつ咳ひとつも重々しく堂内に響き渡る。
その洞窟のような暗い印象は祭壇のほうへちかづいてから後ろを振り返ったとき一変した。
壁に穿たれた天井に届く高いスリットから侵入する眩しい光がわたしの目を撃ったのである。
その刹那、聖書にでてくるさまざまな光と闇の物語について想起しないわけにいかなかった。
ひとりでやってきた女のひとが祭壇にろうそくをささげひざまずいてなにかを祈っていた。
キリストはたしか弟子たちにこんなことをいっていたと思う。自分は十字架を背負って歩いていく、おまえたちもそれぞれの十字架を背負って歩けと。
教会で祈ったからといって「ご利益」が簡単に得られるということはないのだろう。けれども十字架を軽く感じられるようになったり、その重さから逃げずに背負う勇気を得たりすることはきっとできるのかもしれない。
教会で祈るひとの後ろ姿を見ると思わずそのひとが背負った十字架はどんなものだろうと思いを馳せてしまう。