ガクアジサイ

projetdelundi2008-06-17

真ん中は禿げたみたいになってまわりに5、6個しか花のようなものはついていないガクアジサイ
なんでそんな中途半端な花を植えるのか、たくさん花のつくのを植えればいいのにと思って見過ごしていたが、よく見ると花のついていないところがいっそううつくしい。金平糖のようないろとりどりの丸いちいさなつぼみ様のものを無数にちりばめている。
このつぼみ様のものは普通のあじさいの花の中央部分にもついている。赤い花には花びらよりもっと赤く青い花にはひときわ青くこれがついているので、色のジュースがここから流れ、色づけする、絵の具のチューブみたいなものかと思ったが植物学上はたぶんちがうだろう。
あじさいにいろいろの色があるのはその場の土のなかのph濃度によるのだと聞いたことがある。赤、紫、水色、白、あるいはその中間のさまざまな色合いにあじさいは咲くことができるが、そのなかのたったひとつだけの色を選びとり他の色は可能性にとどまる。このガクアジサイはたくさんの色のチューブを持ったままどんな色に咲こうかその可能性を夢想し、まどろんでいるように思った。たくさんの夢を見るだけで結局なにもしない。そういうひとが人間のなかにもいる。
多摩川台公園に最初に行ったときにあじさいはまだ咲いていなかった。先週の木曜日は満開だった。一日中雨が降りつづいて昼のうちやんだのはわたしたちが多摩川台公園を訪れた数十分のあいだだけだった。雨の珠がギザギザの葉っぱの上で盛り上がり、花の色はみずみずしくなっていた。
サクラの咲くときに雨が降ると散って残念だと思うがあじさいのときはそうではない。雨のなかでこそうつくしいと思う。梅雨に咲くあじさいはウォータープルーフになっているのかどうかそんなことは知らないが。