野点(のだて)

projetdelundi2008-07-24

ピクニッケの撮影で再び台場の島を訪れた。
海の見える草原の高台で野点をする趣向である。野点とは一言でいうと茶道のピクニッケ。
『東京ピクニッケ』のデザインをお願いしている山口信博さんに「茶の箱」という野点用の道具をお借りし、奥様のみどりさんにお茶を立てていただいた。
茶菓子には銀座の空也もなかを食べた。
皮が香ばしい上にこのあんこである。粘っこくて香りが立って奥深い。これを食べてしまうとそんじょそこらのもなかは確かに味気なく感じてしまうだろう。売切れるのも頷ける。
はじめての野点の感想はというと、麻薬的だった。飲み下した瞬間に苦さが神経を走り抜け、体じゅうが目覚めていく感じがする。
いっしょにいったひとなんかお茶を飲んだあと「すーっ」といいながら深いため息をつくと、もうなにもいえないほど脱力してしまっていたからおかしかった。
飲み終えたあとには見えているものが心なしか色鮮やかに感じられ、風景も変わった。と同時に、海のなかの無人の島というシチュエーションが一瞬とても不思議なものに感じられるようなちいさな「魔」が思考のなかに生じた。それがちょっと恐いようなすーすーするような快感なのだった。

茶の箱

茶の箱