「東京ピクニッケ」入稿

projetdelundi2008-08-08

「1月から12月まで雑誌に連載したのをまとめた本で、毎月その季節に撮影をしたので、その季節の光が写り込んでいるんです。その光が表現されるように製版していただければ」
とADの山口信博さんは凸版印刷のプリンティングディレクターに説明した。片手は1ページ目から112ページ目までプリントアウトされたカンプ(出力見本の紙)を順にめくっている。1月の透き通るような寒空、2月の春の気分が混じった午後3時の黄色い光と長い影、3月の花曇りのぼやけた感じ…。こうしてまとめて見てみると、撮影していたとき感じていたよりもっと真正直に写真は季節の感触を再現していることがよくわかる。
写真や文字などの原稿が印刷会社に渡ることを入稿という。いまはデザイナーの手によってすべてMacでデザイン処理され印刷所に送られる。去年の8月から先月までにかけて撮影された12ヵ月、112ページ文の写真と文字、デザインの情報が収められた数枚のCDを凸版印刷のひとが皮の鞄にしまいこんだ。
『東京ピクニッケ』の行方は製版技術者の手にゆだねられ、どのように製版されるかは初校ができあがってくるまでわからない。技術者の感性と、技術的な限界と、それから運にかかっている。
東京ピクニッケ