まるき製パン所

projetdelundi2008-09-26

京都は四条大宮の駅から細い路地をずっと南へ下っていく。古い木造の住宅がつづく。ときどき老舗らしき染物屋が見られる。ここは職人の町なのだろうか。
ひとびとの生活があるだけで観光客の目を引くものもなさそうな一見地味な町に、まるき製パン所はある。ご近所のためにパンを焼いている、ごく小さな、ほとんど天然というたたずまいのお店である。
「これはなんですか?」
「象です」
と教えてもらわなくてはなんだかわからなかったクリームパン。表についているクリームは黄色くて卵たっぷり、なかのクリームは白くてミルキー、というダブルのクリームが口のなかでミックスされ溶けあう。
コロッケパンと書かれた札だけが立っていて商品はなかった。でもどうしても食べたかったので尋ねてみると、「いま作りますから」という返事。コロッケパンは作りおきしないで注文してから揚げたてをパンにはさんでくれることになっていたのか。他のはビニール袋に入っていたが、これだけは紙でくるんでくれた。
その理由は食べたらわかった。蒸れないためである。衣がパン粉のひとつぶまで感じられるほどさっくりしていて、ふかっとやわらかいパンと絶妙に合っている。ソースとマヨネーズの両方がかかっているのも、お好み焼きのようで関西らしい。