小坪

projetdelundi2008-10-06

下手をしたら見逃すところだった。海岸に沿った道を歩いているとゴザを立て表からは見えないようにした倉庫か工場のようなところがあった。そこが目的地の市場だった。
ここで売られている魚はスーパーや近所の魚屋で見る魚とまったくちがう。目が充血していず白目と黒目がはっきりとわかる。身がつややかで光っている。いまにも動きだして泳ぎそうな感じがある。それにとても安かった。
訊いてみるとサクにはしてくれるけど刺身にはおろしてくれないそうで、ピクニッケは断念せざるを得ない。サバとアジの開きをおみやげに買った。3枚で300円。
ピクニッケできないとしたら今月の企画はどうしたらいいんだろうと追い詰められた気持ちで道を戻っていくと、目の前にたくさんのひとびとが外でゴハンを楽し気に食べる光景が広がった。白昼の蜃気楼ではないかと目をこすったが本当に現実のことだった。大衆食堂が駐車場にテラス席を設けているのだった。
考えてみればお持ち帰りしてどっかで食べるよりよっぽど簡単なのである。今回はこれをピクニッケと称してごまかす腹づもりを決め席に着いた。
アジの刺身定食が850円、エボダイのフライとイサキのなめろうの定食が1000円。刺身は小坪で朝獲れたばかりのもの。ごはんと味噌汁、納豆、玉子までついている。新鮮な刺身をパクつくときの幸福感はすごいものである。自分が鋭い爪で川から鮭を捕獲する熊みたいな気になってくる。