雑司ヶ谷の紅葉

projetdelundi2008-12-17

2週間前のことなのでもう散ってしまったかもしれないが。
雑司ヶ谷は古い町でいろんなところに大きな木が残っている。鬼子母神参道のケヤキ並木。石畳の上に落ちた赤い葉っぱを掃き清め道ばたに集めたのを、虎太郎(1歳9ヶ月、12キロ)が大よろこびで踏んでまわった。カサカサした感触や音がおもしろいらしい。
赤い落ち葉は鬼子母神までつづいていき、紅葉が紅葉を呼ぶかのように鳥居のそばには大いちょうがそびえ立っている。
雑司ヶ谷霊園にもたくさんいちょうがあって(いちょう通りという名前の道まであるそうだ)、墓石の上の広く青い空を背に黄色い葉が輝くようだった。ここには夏目漱石永井荷風竹久夢二の墓がある。ちょっと行ってみたいと思ったが、どこにあるかわからない。墓への執念があれば見つけられたかもしれないけれど、そんなもの見てどうするんだという気持ちも相半ばし、結局いかなかった。
お墓のそばに古い家が建っていて、中に古いテーブルと椅子が置かれ、テーブルの上にはお茶の用意がしてある。看板を見るとお墓へいくひとのためのお休み所のようで、菊の花を買ったりバケツや柄杓などをここで借り、お墓参りをしたのちにまた一服するというシステムになっているようだ。
どうしてもここで一服したいと思ったが、あいにく雑司ヶ谷霊園に埋まっている近親や知り合いはない。縁もゆかりもない夏目漱石の墓参りをしてこの茶店で休むのはありなんだろうか。今度やってみよう。
落葉はフランス語で「la Feuille Morte」(死した葉)と呼ばれる。秋には路上に落ちたたくさんの死によって街が埋ずまり、周囲を死が包囲していると思うとたいへん恐ろしいような気がする。あるいは、日常的にこのような言葉を使うということはフランス人にとってはそうでもないかもしれない。むしろ死が燃え上がる紅葉のようにうつくしいことをいおうとしているのだろうか。