ベーグルは旅をする

projetdelundi2009-03-02

漫画誌『パニック7ゴールド』で連載中の「パン・ラボ」3月17日発売号はベーグルを取り上げている。
ベーグルはNYからやってきた。シナモンとかチョコとかくるみとかドライフルーツとかたくさんのフレーバーがある。食べても食べても新しい味が日替わり週替わりで販売され、今度はどんな新しい味覚の衝撃に味わえるのだろうという思いでベーグル屋に足を運ぶ。ドーナツやアイスクリームに似たアメリカらしい楽しみ方である。
そうした楽しさにまったく背を向けるようにしてプレーンベーグルを食べつづけた。結果わかったことはベーグル屋さんはプレーンにこそこだわっているということ。普通のパン同様すべてのベーグルに個性があったし、なにも付けずに食べてもおいしいものはおいしい。そして、ベーグルのパンとしての深さもわかってきた。ベーグルはトマトではない。真のパンである。
ベーグルはNYにくる前にはなにをしていたのか? 東ヨーロッパのユダヤ人の食べ物で、500年ぐらい前に発明された。だからプラハユダヤ人であるカフカもきっと食べていただろう。カフカの長編小説『アメリカ』はカフカにしてはめずらしく希望に満ちて主人公はヨーロッパから船でNYへと渡っていく。ベーグルもユダヤ人といっしょに海を渡り、ロウアー・イーストサイドのユダヤ人街で棒に刺して売られていたのをニューヨーカーが発見し、町中に広がっていった。