宝塚散歩

projetdelundi2009-04-05

中断していた『修道女スタイル』ガイドツアーの続き。
宝塚では清荒神という門前町を紹介している。私鉄のちいさな駅から山の上にある仏閣までずっと商店街がつづいている。
昔ながらの、おばあちゃん好きがしそうな、和菓子屋にはじまって煎餅屋とか漬け物屋とか食べ物屋とか線香屋、それからお好み焼きの屋台なんかが、車の通れない細い路地の両側にひしめいている。店のたたずまいが何年も変わっていないからすたれているといえばそうなんだけど、普通の日なのに縁日のような活気があった。まだつづくまだつづくと思いながらお寺への坂道をどんどん上って、山門についたところで満足して帰ってきた。教会の旅に出ているのにお寺参りもちょっと気が引けて…。
門前町のさびしさが好きである。お寺があるからそこににぎやかな町ができるという発想は平成の世から消えている。蜃気楼のような、ユートピアのような、そんな現実感のなさが、どんなにぎわいのなかにも感じられる。浅草しかり、門前仲町しかり。寅さん映画のおもしろい中に垣間見えるさびしさにもちょっと似ている。あの映画の舞台が門前町というのは納得できるのである。
考えてみれば『修道女スタイル』の散歩コーナーは教会の門前町を幻想の中に打ち立てる試みといえるかもしれない。教会にいったあとのあの独特な気分を邪魔しないような、むしろ響きあう場所を紹介できれば…という思いで作った。