クロワッサン

projetdelundi2009-07-16

クロワッサンはどうやって食べるのが本当の食べ方なのだろう。
問題はパン屑がばらばらーと落ちてくることである。
すぐ崩れ落ちるような外皮がいちばんさくさくしていちばんおいしいはずなのだ。
だから私はなるべくその被害を少なくするため大口を開けてかぶりつく。
端っこの角のようにとんがったところからまず食べる。
ここがいちばんかりかりして、またかりかりなぶん、バターもたくさんでてくると思う。
その次にはまた食べやすい反対側の端にいって、そこから最後にはもっとも崩れやすく、またもっとも大口を開けなくてはならない頂上部分に向けて登坂を開始する。
大口を開けようと、結局はそこらじゅうにばらばらこぼれて服を汚すことになるのだが、クロワッサンを食べていると興奮してきてだんだんそんなことはどうでもよくなってきて、最後にはバターの脂で光る親指と人差し指に残った屑まで舐める。大口派は食べるのにいっぱいいっぱいで焦っているから実はゆっくり味わってもいないのだが、クロワッサンを食べているというテンションはひたすら高い。私はクロワッサンをパン屋で買ったらすぐ食べたくて家に持って帰ることができないので、歩きながら大口を開けピクニッケするわけである。
大口派は実は少数であって解体派のほうが主流かもしれない。解体派には右派と左派そして中間派があるだろう。右派と左派は右、あるいは左の角だけ抜いて口に放り込む。この方法はもっとも角のおいしさを落ち着いて噛み締めることができる。
中間派は頂上の部分巻き込まれた皮をぐるっとはいでから食べる。これはいちばん高いところが解体できるのでもっとも食べやすいが、もっとも皮が壊れ落ちるリスクは高く、作業には慎重さが求められる。
この前取材をしたときに、クロワッサンは崩れれば崩れるほど皮が薄くてさくさくの証拠なのだから、むしろぱらぱらぽろぽろこぼれおちるようなクロワッサンを作っていますというパン屋さんがいた。クロワッサンは屑が落ちるのが醍醐味だと。そういう言い方をされると急にそっちのほうがいいような気がしてきて、いままで妙に屑がこぼれるのを気にしていたのから態度を豹変させ、ピクニッケはやめテーブルについて紙ナプキンなど敷き、準備万端整えてからおもむろにぱりぱりっと頂上部分から皮を剥ぎ中央突破をはかって男らしくこれからはクロワッサンを食べようと決意を固めた。