渦巻き

projetdelundi2007-11-06

エルブリのシェフパティシエを務めたオリオール・パラゲのチョコレート店が白金台にある。
間接照明の薄暗い空間ではプロジェクターによって白黒の渦巻きがぐるぐると壁に投影され、怪しい趣きである。
黒トリュフやオリーブオイルやサフランなどフレーバーがユニークで、迷った末に1500円/4ヶの[シャンパンリキュール]を購入。隣のどんぐり公園へ急ぎ、木陰で封を切る。
チョコレートを口にいれ舌で転がしたあとやおら噛み砕く。
とろっとした液体がとろけ出る。
むせかえるようなシャンペンが鼻孔を刺し脳天をしびれさせる。
ビターチョコレートと強いアルコールの衝突が呼び起こすのは、ただ甘美というよりももっと激しい感覚。どこに連れて行かれるかわからないような、危うさと隣り合わせの甘美さである。
舌の上の快楽を味わい尽くすために目を閉じた。
青空の残光が暗闇のなかでシャンペンの琥珀色に変わって、さっき見た幻灯のように渦を巻いた。
ピクニッケであると同時に、[現実離れ]カテゴリーに入れたい。チョコレートが霧消するまでの数十秒、わたしはどこかへ行っていたのだから。