修道院宿泊記

projetdelundi2009-04-18

『修道女スタイル』をお読みになった方はp52の「女子修道院宿泊記。」だけが他のページと趣きがちがうことにお気づきと思う。この部分だけは妻が原稿を書き、写真ではなくイラストも描いた。
なにせ女子修道院なので私は訪問することをはばかられ、虎太郎(2歳1ヶ月、14キロ)とともに留守番をしていた(妻の実家で、父と母はついていてくれたけれど)。虎太郎にとって母のいない一日を過ごすのははじめてだったが、特にいつもと変わったような様子はなかった。母から引き離された虎太郎は棄てられたと思って泣き叫ぶのではないかと思ったが、別れるときも駅で元気に手を振った。
夕方に私の電話が鳴ったとき虎太郎は「ママー」と言った。着信を見ると本当に妻からの電話だった。口には出さないがずっと母のことを考えていたのだと思い、かわいそうに思った。
妻は電話でいつもより落ち着いた、抑揚のない声で「いろいろ考えることが多くて」といった。世間と切り離された閉所の独特の雰囲気、繰り返される厳粛な祈りの時間、そして、食事のとき出会うたくさんのシスター様や神父様との会話が、妻の心を揺さぶったようだった。
古来、修道院は貧しい人びとに施し、病んだ人びとを癒し、旅人には宿と食べ物を与えてきた。とくに観想修道院(祈りを中心とする修道院)ではその伝統が引き継がれている。信者・未信者を問わず、予約すれば泊まれる修道院は日本各地にある。もし、そうした体験をしてみたいと思っていて、憧れている修道院があったら、ぜひ電話して訊いてみるといいと思う。