ピクニッケ

フランス式

新宿御苑に行ったらフランス人がピクニッケをしていた。去年のクリスマスにわたしたちがピクニッケしたのとほとんど同じ位置。リュクサンブール庭園にそっくりなフランス式庭園を眺められる場所である。パリを懐かしむ気持ちがフランス人たちをもここでピク…

天亭

天亭のご主人の話。きょうは長いので見出しを見て興味のあるところだけ読んでください。 (時期外れのさんまが安くておいしい)「うちは活けものだけを使うようにしてます(ガラスケースのなかでは海老が飛び跳ねている)。魚はすべて築地で仕入れる。最近は…

台場

夏というのはそういえばこんなに暑いものだったのだ。と砂浜を歩きながら思いだしていた。砂浜といってもバカンスにでかけたわけではなくお台場の海である。近いのでありがたみがないようであるが本物の海には変わりない。 日盛りでちょうど太陽が真上にあっ…

ブリオッシュ

忘れもしない小学二年生のときにはじめてこの世にブリオッシュというものがあると知った日。 形もびっくりだけれど、バターと卵たっぷりで果てしなくお菓子なのにかろうじてパンの領域にとどまっているというその幸福な存在感がなによりわたしのこころを打っ…

先週の木曜日は晴れ上がりケーキのクリームが溶けるほど暑かったがピクニッケの撮影のために傘を差した。 右側の傘は『沖縄のおさんぽ』にのっている傘屋さんで買ったもの。左のアーノルドパーマーみたいなのはBEAMSで購入。派手すぎて差して歩くのは恥ずか…

田園調布

普通は晴れたときに散歩をし雨のときは散歩しない。雨の日に散歩してもじめじめしてズボンの裾は濡れるし靴は汚くなるし暗い気分になる。 と思っていたけれど雨のなか多摩川駅から田園調布まで歩いた。多摩川駅のホームから森が見えると以前に書いた。その森…

ガクアジサイ

真ん中は禿げたみたいになってまわりに5、6個しか花のようなものはついていないガクアジサイ。 なんでそんな中途半端な花を植えるのか、たくさん花のつくのを植えればいいのにと思って見過ごしていたが、よく見ると花のついていないところがいっそううつく…

黒猫

多摩川台公園に黒猫がいた。それも2匹。両方とも黒というのは親子なのか兄弟なのか。 上等のスエードのように黒光りして、触るとつるつるさわさわと気持よさそうで、真っ黒のなかに目だけ黄色く光らせている。黒猫は日常よく見かけるものなのに、日常から逸…

ホタルブクロ

多摩川駅は森に囲まれた駅だった。渋谷から十数分とは思えないほど濃い緑陰がホームから見え、ちょっとした旅行の気分である。 紫陽花の名所、多摩川台公園へ。駅前の丘を上がる階段に沿って紫陽花も段々に咲いている。階段を上がると驚きが待っていた。一面…

国際フォーラム

オフィスビルが、レトロなのも超高層も、堂々としていることはどれも変わらずに立ち並んで、ひろびろとした並木の道を背広姿のひとたちが行き交う。 丸の内にくると、きまってもうひとつの人生を思う。ちょっとしたはずみでサイコロがちがう転がり方をしてい…

日比谷公園

日比谷駅の出口の階段を昇っていると、かび臭さとモーターの熱が入り交じった地下鉄の空気に代わって、雨の前触れの湿った空気が地上から階段を滑り降りてくるのがわかった。 日比谷公園の木々も朝のうちの雨によって湿り気を帯び瑞々しい色をして、その色が…

寒天

桐生でところてんに目覚めた。 街道沿いに天草を木のざるで干している店を目にし、車を停めた。かみやという店である。 値段は160円。酢醤油で食べるのと、黒蜜で食べるのと二種類ある。いくらでも食べられる。つるつるっとしてぐにゃっとして噛むとほろっと…

大萬

きのうのつづき。斉藤水産以外のもう一軒の築地の魚屋の話。 築地市場の奥深くへ分け入っった。コンクリートの屋根の広い広い空間がずっと広がって、狭い通路をたくさんの魚ケースをカートに載せたひとが忙しそうに行き交って、素人のわたしがこんなところを…

ドーム

きのうの魚屋の写真を見ていて思いだしたのが、カフェ・ドームである。ドームはかつてピカソが画家仲間と毎日のように集ったモンマルトルの由緒ある文壇カフェの一軒だ。 入口のところに生ガキや魚介類が置かれ、氷が敷かれたケースがあって、その場ですぐ食…

斉藤水産

今月のピクニッケは築地で買ったゴハンを浜離宮で食べる企画。 場外にある斉藤水産は築地初心者にもやさしい魚屋で刺身にも造ってくれる(5000円以上から[3〜4人前])。ピクニッケにうってつけ。 試食もあるし、たくさんの種類の魚を売っている。エビや…

坂本屋

その店は四谷の鯛焼き若葉に行くときの目印だった。 四谷の駅から新宿通りを四谷三丁目方面にいってレトロな和菓子屋の角を左、と。 ところがそのうちこの和菓子屋のほうが気になってきた。 ビルばかりならんだ大通りに一見だけ木造の瓦屋根。カステラの並べ…

浜離宮のつづきのつづき

入口から菜の花の匂いとともにボーという音が幾度か聞こえていた。汽笛の音にはちがいなかったが、こんなビルの谷間でどこから聞こえてくるのか知れない。 進むにつれ菜の花の匂いにかわったのは磯の香りである。たんぽぽの辺りを抜けていくと波止場が見えた…

浜離宮のつづき

菜の花畑を抜けても黄という色がついてまわった。 黄色い水仙があった。芝生のなかの黄色はたんぽぽだった。 綿毛が風で飛び散らかって着地した種がそのまま芽吹いたというように、緑のなかにぽつぽつと散りばめられていた。けれどもそれは空想で、ひとつの…

浜離宮

入口あたりから青臭い匂いがしていた。それがなんだかわからないまま歩いていくと香りがだんだん強くなってきて、木の間にまばゆいような黄色が見えてきた。 このあいだの日曜日、浜離宮では菜の花が満開だった。菜の花は河原とか田園地帯とかだだっぴろいの…

続サクラの旅

先週はサクラの週だった。 いまサクラが咲いてもうすぐ散ろうとしているのに自分はこんなことをしていていいのかとなんだかソワソワしてマジメに仕事ができない。ドライヤーが壊れたことにかこつけ、電器屋へいくのにサクラの咲いている川沿いの道を通った。…

廃園

(きのうのつづき)サクラの花の色は目に滲みる。目の端にほんの一瞬横切っただけでもどきりとする感じがあって、素通りできない。 また別の路地の奥にサクラを見た。病院の院長先生のお宅である。 路地を進んで家の前までくると、大きなサクラの木に加えて…

サクラの旅

おつかいに出たらサクラに誘われ、用事を忘れてふらつき歩いた。 踏切で電車の通過を待っていたらとなりの踏切のところにサクラの大木が目に入った。一本桜である。そこはよく買物にいくスーパーの目の前だったけど、咲いてみるまでそんな立派な木がそこに立…

目黒川

暗い水面に薄桃色のサクラの花びらが落ちて流れていく様子はいつまでも見飽きない気がするのはなぜだろう。 コンクリートの箱みたいな正確にまっすぐな川と桜の並木ががどこまでもつづいていく。 川を渡る橋のうえに楽しそうな花見客がいて、その向こうの橋…

井の頭の梅

「梅の香りが袖口につくと男のひとは家に帰って怒られないだろうか?」 という意味のことを樋口一葉は梅を見た日の日記に書いている。 一葉が見た梅の花は香水と紛うほど強い香りを発していたというのだ。 梅は見るものではなく香りを楽しむものだ。明治の頃…

代官山という山

代官山という山はいったいどこにあるのだろう。と思っていたらここにあった。 代官山の駅に着いたときには中目黒のほうからじわりと上がってくる峯の頂上にいるので、自分の足の下の山に気づかないということなのだった。 西郷山公園は中目黒へと下りる斜面…

きのうの桜

代官山駅から西郷山公園へと行く旧山手通りは散歩道として楽しい。 collexというデザインショップがある。絵本の展覧会をやっているとのことで期待して行ったら翌日からだった(いまはやっているだろう)。わたしが展覧会に行こうとすると必ず翌日からか前日…

早咲き桜

早咲きの桜が西郷山公園の丘の上で咲いていた。まわりの桜の木はすべてソメイヨシノらしくまだ咲いていない。この一本だけが満開の花を咲かせている。 早咲き桜は丘のちょうどてっぺんにあってここが頂上ですと宣言しているみたいだった。 まわりは芝生で木…

ケーニッヒ

井の頭公園の入口近くにあるソーセージ専門店。 創業者はドイツでソーセージを食べ歩いた末にいちばん味が気に入った店で2年間修業した。 もともと食肉業を営んでいた縁もあり優れた品質の肉を仕入れることができる。 豚は埼玉産の肩肉。牛は黒毛和牛のスネ…

サトウのメンチ

吉祥寺の商店街にはいつも長い行列ができている。サトウのメンチを買うひとびとである。 たしかにここのメンチには1時間や2時間の行列に耐える価値はあるだろう。普通のメンチのように肉が固まりきってはいない。肉がやわらかくほどけ、レアで生々しくて、…

ダンディゾン2

きのうのつづき。 国内外限らず安全でおいしいものを厳選。素材の味を活かしたシンプルなパンを提供するのがコンセプト。Dans dix ansとはフランス語で10年後の意味。安全・安心の素材が10年後には当たり前のものであってほしいという願望がこめられている。…